斉藤としつぐ
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民選論骨子 首相民選 2001年 宰相の条件

主張
 国民の意思を直接的に国政に反映し、内政・外交に強いリーダーシップを発揮できる内閣政治を樹立するため、首相民選制を導入する。
 いま、国民は、私たちの意思を体現する首相に率いられた強い政府を求めている。しかし、わが国の政治の現状を直視すると、戦後最大の危機に立っていると言わざるを得ない。これは、根源的には、政治に対する国民の期待や願望を忘れがちな国会における諸勢力の政争のために、内閣総理大臣(以下、首相とする)の地位にある者が明確な政策を実行できずにいるからである。
 最近問題となっている官僚の過度の政治介入も、大きな視点にたった政治ができない状況の中で生み出されたわが国特有の病的現象の一つといえる。

 こうした混迷した状況を大きく転換するためには、国民が、内政・外交両面にわたってわが国の将来を政治に託し、政治が責任をもってその役割を果たせる体制を構築しなければならない。
 そのためには、国民に一貫した政策体系を示し、民意を明確に反映した首相のもとに集まる人材を結集した内閣により、国政が指導されるのが最もふさわしい。
 冷戦の終結とともに、わが国においても同じ政治土俵のうえで実現性のある政策論を戦わすことができるようになった。
 他方、政策の内容は、かつてないほど複雑・多様なものになり、国民の目からみれば非常にわかりにくいものになった。

 しかし、それだからこそ逆に、国政が担うべき政策を体系だててわかりやすく提示し実行するのが政治の責任となるのである。そうしたことを可能にするのが、首相民選制なのである。
 国民の前に一貫した政策とその担当責任者とをセットにして一つの選択肢として提示、そうしたいくつかの選択肢の中から国民自らが一つを選択するのである。
その政策担当責任者が首相であり、この選択こそ真の民意の集約であるといえよう。

 これに対して、国会は自ら民意の反映体として、内閣をコントロールすることによって政策に磨きをかけるのである。こうした方式こそが、これからのわが国の政治組織の根本となるべきであると信ずる。その実現のための制度をここに提案したい。

骨格
 国民投票で首相候補者を決める。
 首相は、衆議院議員選挙の後、召集される特別国会で決められるが、それに先立ち、首相民選のための国民投票により、国会で議決されるべき首相候補を決定する。
 候補者名簿は国会議員が発議する。
 国民投票にかける候補者は、国会議員を有資格者とし、かつ国会議員の総数の五分の一以上の推薦により決定する。
 国会は、国民投票の結果を尊重して首相を指名する。
 国会は、首相指名の議決において、国民投票の結果を尊重する義務を負う。
 現行憲法は堅持される。
 象徴天皇制や国会と内閣との関係など、国政にかかわる現行憲法の制度及び精神はすべて堅持される。
 内閣は、国会の信任を在職要件とし、かつ、その提示する政策等について民意を問う必要があると判断したときは、いつでも衆議院を解散することができる。
要領
 首相は、国会議員の中から、国会の議決により指名されるものとする。
 憲法第六七条の手続による。
 指名される者は、このために新たに制定される法律により実施される国民投票の結果に基づき決定されるものとする。
 国民投票は、衆議院議員総選挙の後に召集される特別国会の開会までに行うことを原則とする。
 首相は国会議員の中から国会の信任を得て任命されるものである。
したがって、衆議院の構成が新たになったときは、その時の民意に基づいて指名されるべきであると考えるからである。
 国民投票は、次記の手続により作成される候補者名簿のうち一名を、選挙人(国民)が選択することによって行われるものとする。
 国会の首相指名の議決においては、国会は、国民投票の結果を尊重する義務を負うものとする。
 国民投票の効果については、国会の議決に代わる効果を持たせるものから、助言・諮問的な効果を持たせるものまで考えられる。
 ここでは代議制の趣旨と協調できる尊重義務にとどめた。
 しかし、国会は、国民投票の結果を専重しなければ収拾のつかない政治的混乱(国民の意思を無視した国会というイメージの定着〕をもたらすだろう。
 衆議院総選挙後に速やかに国民投票のための候補者名簿を決定するものとする。
 この候補者名簿には、国会議員の総数の五分の一以上の国会議員の署名(一議員一署名)を獲得した者が登載されるものとする。
 候補者名簿決定の母体は、新たに選挙された国会議員でなければならない。
 このため、衆議院議員選挙→候補者名簿の決定→国民投票→特別国会の召集→首相指名という手順を経ることが必要となる。
 五分の一以上の議員数でなければならない論理的な理由はないが、組織力に過度に依存しなければ名簿に登載されないのでは制度の趣旨が失われ、他方、少数の集合で擁立できるとすれば全く政治力のない者も含め乱立する恐れがある、ということは指摘できよう。
 私は、五分の一以上という数字は定数の変動も考慮した上で、このどちらの危険も回避できる範囲にあると考える。
 政党等の推薦とする考え方もあるが、政党の離合集散や消滅をも考慮し、必ずしもその必要はないと考えている。
 実際には、名簿に登載された者は、国民投票に先立って、重要政策についてその内容と実現のための具体的手段を明記した綱領文を公示するなどの、国民に対する判断材料を提供する制度を設けることが不可欠である。
 国民投票の選挙人は、公職選挙法に定める選挙人名簿に登録された者とする。
 不慮の事故等により首相が欠けた場合には、衆議院議員選挙を実施しないで、国民投票のみを行うことができるものとする。
 新たに制定される法律及び関係法令において、国民投票の投票及び開票の手続・事務、選挙運動、争訟、罰則その他所定の規定を整備するものとする。


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