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第1回 『オランダの“離婚”大臣』

オランダ・カンプ国防大臣(右から二人目)との会談 イラク共和国ムサンナー県のサマーワに駐留し、復興支援活動に従事する日本の陸上自衛隊に対する治安維持が、委員長として最大関心事でした。事故が無いように、迫撃砲の被害に遭わないように、病人が出ないように、そんな祈りの毎日でした。治安維持には主に二つの協力が必要です。一つはサマーワの行政府と住民の協力、もう一つは現地の治安維持活動にあたっているオランダ軍の協力です。
 そのオランダ軍が突如、「来年3月にイラクからの撤退」を表明しました。驚愕です。何としてでもオランダを訪問し、その真意を確かめることと、駐留続行を願う日本の立場をしっかりと伝える必要がありました。
 早速、外交ルートを通じてカンプ国防大臣との会談を取付け、中東の猛暑が信じられない程の冷たさを感じる雨のハーグで、「イラクからの撤退を思い止まってほしい」と強く強く申入れました。申入れをした日本の政治家は私が最初でした。
 カンプ大臣は日本の立場に理解を示しながら、次の様に説明しました。オランダは日本よりずっと小国であるにも拘らず、現在イラクに1400名、ボスニア、アフガニスタンの両国に千数百名を派遣している。イラクからの撤退は変えられない、とのことでした。
 私は、オランダと日本のコンビは、イラクの他の地域のモデルとなっていて、両国の協力は一番良い組合せであり、ベストカップルと言える。もしオランダ軍が撤退すれば、それは「離婚」となってしまう。貴方は「離婚大臣」と呼ばれてしまいますよ、と説得しました。オランダ側を含め同席者から、その言い回しにドッと笑いの反応も出て、私の意志がよく伝わった会談となりました。
クウェートにあるキャンプ・バージニアで陸上自衛隊員と  その後、カンプ大臣から二つの対応措置が説明されました。一つは、オランダ軍が今迄実施して来たイラク側の警察及び治安組織への教育・訓練を、一層充実させて肩代わり出来るようにしたい。
もう一つは、イラク南部全体の治安維持に責任を持つ英国軍と、自衛隊に不安が出ないようによく協議する、とのことでした。更に大臣からは私の「離婚」発言を引用して、日本と別れる場合、喧嘩別れするのではなく、仲良くお別れしたい、と結ばれました。最近になって英国側から、オランダ軍の役割を英国軍が肩代わりして受持つ旨の発表がされました。


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