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HOMEとしつぐの活動文化芸術振興基本法 > 文化芸術の大輪の花を咲かせたい

文化芸術の大輪の花を咲かせたい
〜文化芸術振興基本法の制定に当たって〜

衆議院議員(音楽議員連盟事務局長)
斉藤 斗志二
 文化芸術関係者の長年の念願でありました「文化芸術振興基本法」が二一世紀の始まりの年に、多くの方々の御理解とお力添えをいただき、成立させることができましたことを大変喜ばしく思います。
 法律の検討過程において、芸術家や文化芸術団体をはじめ多くの方々から、貴重な御意見や御示唆を賜り、誠にありがとうございました。本紙面をお借りして厚く御礼申し上げます。これまで、我が国では、文化芸術の分野においては、文化財保護法や著作権法など個別の事項に対する法律はありましたが、文化芸術全般にわたる法律がなく、従来から文化芸術関係者の間で、文化芸術の振興のための基本的な法律の制定が必要であることがいわれてまいりました。
 我が国の現状をみますと、経済的な豊かさは一応達成されたものの、心の豊かさを実感できるようになっていないと考えます。人々が心豊かで質の高い生活を送り、活力ある社会を形成していく上で、文化芸術は極めて重要な意義を持っています。
 しかしながら、我が国において、文化芸術がその役割を果たすことができるような基盤の整備や環境の形成は十分とは言い難く、文化芸術関係予算をみても国家予算に占める比率は、平成14年度で0.12%にすぎず、フランスの0.94%(平成11年度)に比べれば約十分の一という水準にあります。
 これは、これまで行政全体における文化芸術の振興への取り組みが必ずしも十分ではなかったことのあらわれであり、また、国民も、文化芸術への理解や関心が十分ではなかったといえると思います。
 このようなことから、超党派の国会議員から成る「音楽議員連盟」において、文化芸術を振興するためには、まず、そのための基本的な法律の制定が必要であるとの認識の下に、長い間議論を行ってきました。また、各党においても、それぞれの立場で、文化芸術関係者や有識者の方々からの御意見も伺いながら精力的な検討を行い、さらに、それらを踏まえて、党派を超えて関係議員が一同に集まり、熱心な議論をしてまいりました。
 このような議論の結果が「文化芸術振興基本法案」として結実し、自由民主党、民主党、公明党、保守党及び社会民主党の国会議員16人の共同提案により、昨年11月16日に国会へ提出されました。本法律案は、11月21日に衆議院文部科学委員会で審議、可決、翌22日に同本会議で可決、同月29日に参議院文教科学委員会で審議、可決、翌30日に参議院本会議で可決され、成立し、12月7日に公布、施行されました。
 本法律は、今後の社会において、文化芸術の持つ意義や価値がより大きな役割を果たすことにかんがみ、人々が文化芸術を享受し、その創造に参加し、文化的な環境の中で生きる喜びを見いだしていけるような社会をつくることを目指すものであります。そのため、我が国において、これまで培われてきた伝統的な文化芸術を継承・発展させるとともに、独創的で新たな文化芸術を生み出すため、文化芸術活動を行う者の自主性や創造性の尊重をしつつ、文化芸術の振興に関する施策を積極的に推進しようとするものであります。
 本法律は、単なる「基本法」ではなく、文化芸術のあらゆる分野を幅広く振興していくための内容を盛り込んだ「振興基本法」であり、この法律を基に、文化芸術予算の拡充や、文化芸術団体への寄付促進のための税制上の措置などが図られることが強く期待されます。
 本法律の内容は、前文と第一章総則、第二章基本方針、第三章文化芸術の振興に関する基本的施策の三章三五条から成っています。
 冒頭に、文化芸術の意義と役割、文化芸術の振興の必要性及び本法律を制定する趣旨について、前文を置いています。
 第一条は、本法律の目的であり、文化芸術の振興に関し、基本理念を定め、国及び地方公共団体の責務を明らかにし、文化芸術の振興に関する施策の基本となる事項を定めることにより、文化芸術に関する活動を行う者の自主的な活動を促進して、文化芸術の振興に関する施策の総合的な推進を図り、もって心豊かな国民生活及び活力ある社会の実現に寄与することを定めています。
 第二条は、文化芸術の振興に当たっての基本理念として八項目を定めています。
 具体的には、文化芸術活動を行う者の自主性や創造性の十分な尊重や、その地位の向上、国民の鑑賞・参加・創造のための環境整備、多様な文化芸術の保護及び発展、各地域の特色ある文化芸術の発展、我が国の文化芸術の世界への発信、国民の意見の反映などが定められています。
 第三条及び第四条は、文化芸術の振興に関する国及び地方公共団体の責務について、第六条は、政府が文化芸術の振興に関する施策を実施するために必要な法制上、財政上その他の措置を講じなければならないことを定めております。
 第七条では、政府が文化芸術の振興に関する施策の総合的な推進を図るための基本方針を定めることとしています。基本方針は、文部科学大臣が芸術家や有識者等で構成される文化審議会の意見を聴いて案を作成するものとされています。
 第三章の「文化芸術の振興に関する基本的施策」では、各分野の芸術文化の振興、地域文化の振興、国際文化交流、芸術家の養成・確保、著作権の保護及び利用、国民の鑑賞機会の充実、劇場・音楽堂の充実、民間の支援活動の活性化、政策形成への民意の反映などについて具体的な施策の例示をあげて規定しています。
 これらの規定は、我が国の文化芸術の振興のために必要な基本施策について、将来も見据えて、広範にわたり規定したものであり、他の基本法には見受けられない本法律の特色となっています。
 なお、国会の審議の中で、第八条以下の各条において、文化芸術の分野が例示されていることで、例示の有無でその施策に差異が生ずるのではないかとの懸念が示されましたが、そういうことはありません。例示は、あくまでも各条の内容をわかりやすくするためであり、例示に挙がっていない分野も、当然、本法律による施策の対象となりますし、また、例示されている分野と例示されていない分野との間に差を設けたり、例示されている分野について優先的に取り扱うといったこともありませんので御理解を賜りたいと思います。
 このように本法律は、今後の文化芸術の振興の理念と方向を示しつつ、多くの内容を盛り込んだものになっていますが、私は、この法律は我が国の文化芸術の振興のための第一歩であると考えています。
 本法律が大きな力となり、政府全体で文化芸術の振興に取り組むための基盤がつくられ、文化芸術の振興のための予算の拡充や税制措置の拡大などの施策の進展が図られ、社会全体で文化芸術を大切にする機運が醸成されることを大いに期待しています。
 先日、文化庁から、平成一四年度予算案において、文化芸術予算の拡充と文化芸術に関する税制の充実が図られると伺ったところであり、早速、本法律の効果があらわれたものとして大変嬉しく思います。
 今後とも、皆様方の御意見や御要望を十分承りながら、文化芸術を担う方々が、その活動に打ち込めるような環境の整備と、文化芸術を大切にする社会づくりに努めてまいりたいと考えておりますので、引き続きの御理解と御支援を賜りますよう、どうぞよろしくお願いします。
(文化庁月報 平成14年2月号 401)


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